第2章 02-クロマル/裏
物心ついたころにはもう、俺はマルコに恋をしていた。
もちろん最初から、マルコは男だったし、弟だった。それでも「にいちゃん」と言って寄ってくる姿は、とても可愛くて愛おしく、ずっと側にいたいと感じた。それと同時に離れなければ、とも思った。
成長していくにつれ、薄々は感じていたんだ。自分が抱く感情が可笑しいということも、これによってマルコに何かしらの被害が及ぶってことも。だから俺は、マルコの前から姿を消した。
家を出て1年。色んな街、仕事を転々としてから、俺は家に戻って来た。この1年間で女とも男とも恋愛してきたし、それなりのコトもした。だからもう、マルコのことは吹っ切れたと思っていたんだ。けど、
「無理だったんだ……」
「クロ……」
マルコをソファへと押し倒す。
俺がいない間に、彼女と買ったソファ。女の子らしくふわふわで、可愛らしい色で、この家には酷く不釣りあいに見えた。