第2章 02-クロマル/裏
シュルリ、と。マルコの首からネクタイを外し、彼の両手首を後手でキツく縛った。怯えた声で名前を呼ばれたが、気付かないフリして名を呼んだ口を、己の唇で塞ぐ。マルコの身体が硬直するのがわかった。
閉ざされた唇を無理矢理開いて、歯をザラリと舐める。ほんの一瞬、呼吸をするために開いた隙間に舌を捻じ込んで、逃げるマルコを捕まえた。
「っ⁉︎」
思わず舌を引っ込める。銀糸が伸びて、プツリと切れた。
指先で舌を触れば、ヌルリ。マルコに噛まれた箇所から、血が溢れ出ているのが分かる。高揚しながら、涙を溜めるマルコに、罪悪感よりも怒りが生まれた。
あの女は受け入れる癖に、なぜ俺は駄目なのか。あんな女より、俺の方がマルコ知っているし、マルコを……。
もう止まらなくなっていた。無理矢理ズボンを下着ごと脱がして、マルコの下半身を露わにする。それなりのモノが、そこにはぶら下がっていた。
「あの女のこと、お前は抱いたのか?」
「や……。クロ、やめ……」
「コレ使って、お前はあの女を犯したのかって、聞いてるんだ」
「ひっ、うぅ……っ」
マルコの目から、涙が零れ落ちた。けど見ないフリして、握ったペニスを上下に扱う。ピクピクと身体が震えるのを見て、感じでくれているんだ、と嬉しくなる。
それなりに勃ち上がったら、手を止めて自分のモノを出した。マルコの表情、声にあてられすっかり出来上がっているソレを、マルコの尻に充てる。イヤイヤと喚く口を手の平で押さえて、一気に突き上げた。
手の奥から悲鳴に近い声を上げながら、マルコの身体は仰け反った。孔は重量に耐え切れなくなり裂け、鮮血が軽く流れている。
「あっ、う、……ッ、いた、」
ヒクヒクと喉を鳴らしながら、マルコは痛みを逃がすよう、息をする。それを憚るかのように再度唇を塞いだ。今度は噛みつかれるなんてことはない。
腰を打ち付けるたび、マルコは悲鳴を上げながら、俺の背に爪を立てる。まるで仕返しと言わんばかりに引っかけられるが、それを痛いとは感じなかった。それどころか、嬉しい、と思った。
背に傷が出来るたび、マルコは俺に縋ってくれる。傷が増えていくたび、マルコを抱いた証が出来る。そう思うと嬉しくて嬉しくてたまらない。そう感じたんだ。