第1章 01
マルコと一緒に住むようになって、3ヶ月。その日はとても天気がよくて、まさしく小春日和だった。
マルコと私はお互い日曜日がお休みで、この日は2人でノンビリ、出掛けることなく家にいた。ゆっくりと流れる時間は優しくて、ただぼんやりしているだけなのに、とても幸せだと思えた。そんな中、玄関のインターフォンが鳴る。出たのはマルコだった。
相手と数回話して、マルコは慌ただしく家から出て行く。不思議思っているのも束の間、彼はすぐに戻って来た。マルコに似ている、怪しげな男を連れて。
「……どちら様?」
「あー……。俺の、兄ちゃんよい。双子の。で、こっちは。俺の彼女だい」
「クロだ。しばらく厄介になる」
「はぁ……。ん?」
マルコのお兄さんの言葉に、私の思考は一瞬停止した。
厄介になる、ということはこの人、とうぶんの間泊まるってことだろうか?ジト目でマルコを見ると、彼は困ったようにはにかんだ。
「クロは去年出てったっきり、音信不通だったんだよい。で、今戻って来たんだけど、住むところがねェんだと。、頼むよい」
「つかオメェの家じゃないだろ」
「うっ……!」
グサリ!胸に刺さった言葉に、私は一瞬でコイツの事が嫌いになった。
確かにここは、マルコの家だ。けど、私は一緒に住んでいて、ゆくゆくは結婚も考えている。だから私の家でもあるんだ!なんて言葉、言いたくても言えなかった。きっとクロは、私の頭では追い付けないような言い方で言い返してくるだろうし、なによりマルコの兄弟だ。そんなこと言って、マルコを悲しませるなんてしたくない。
私は渋々クロのことを承諾すると、マルコたちに気付かれないよう、ため息を吐いた。せっかくいい気分だったのに、なんでこんなにも妙な同棲が始まるのよ……。