第1章 01
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はじめてマルコに会ったのは、1月のとても寒い日だった。その日は朝から雪が降っていて、寝坊した彼は酷く焦っていたらしい。なんせ職業が講師だったので、どうしても遅刻するわけには行かなかったのだ。だから足元なんて到底見る余裕なんかなく、彼は凍った歩道橋の階段から滑り落ち、足を骨折。運ばれた病院に勤めていたのが、私だった。
私たちが恋人同士になるのは、そう遅くなかった。マルコは他人思いでとてもいい人だったし、なにより一緒にいてとても落ち着く。私はきっと、この人と結婚するんだろうな、とすんなり思えた。だからか「一緒に住もうと」と言われた時も、嫌な顔1つせず実家から出て行くことが出来たのだ。彼が、来るまでは―――。