第2章 シリーズⅡアポフィライト①
「わー! モリ先輩が溝に!!」
「あたかも殿のようなドジを!」
「殿のごとしヘマを!」
「ナヌ!? 失敬な!」
光馨が環を馬鹿にしていると、ハルちゃんがどうして崇がこんなに心配しているのか不思議に思ったようで、幼馴染みなんじゃと仮説を立てるも光馨に従兄弟だとあっさりぶったぎられた。
きょーくんや光馨、それに環に崇とみつくんの家の事を教えてもらったハルちゃんは、崇の元へ来た。
「モリ先輩、大丈夫ですよ? ハニー先輩意外と頑丈そうだし、おなかがすいたらヤシの実もなってるし」
ハルちゃんが励ましているのが分かったのか、崇はハルちゃんの頭を撫でて、撫でられたハルちゃんはちょっと照れながらも嬉しそうだった。
ドクン……と胸が大きく揺れたような気がした。
喉の奥が、苦しい。
汚い思いが、ふつふつと湧き上がってくる。
さわらないで。
あたしにしか、やさしくしないで。
他の子になんか、笑いかけないで。
どうしてこんな思いがあたしの中からドロドロと生まれてくるんだろう。
ハルちゃんのことも大好きなのに、どうしてあたしはこんなにも独占欲を抱いてしまうんだろう。
こんな自分が嫌で。大嫌いで。
情けなくて、消えてしまいたくなる。
その光景を見たくなくて、あたしは俯いて体の向きを反対側に向けた。