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糸車 2

第4章 犠牲


僕と秀吉だけになった部屋。
空気は張り詰めていた。

まだ、僕の演技は終わってはならない。

「は…やっと出ていった。あの侍女を持て余していたからね。」

「いいのか、半兵衛。」

いいもなにも、すべての発端は秀吉、君じゃないか。
そう言いたくなったが、ぐっと堪える。

「世話役にはもってこいだと思ってたけど…」

「そうか…」

僕が彼女を突き放したこと。
秀吉は自分がねねを殺めたことに重ねているようだった。
似たもの同士だと、好意を抱いているかのような。

「近いうち、彼女はここを出ていくだろう。
彼女はどこの出なんだい?」

以前彼女に出身を聞いた時、有耶無耶にされたことがある。
家は、ここから近いのだろうか。

「遠かったら、最後の情に車でも出してあげても」

「あいつに家族はおらぬ。家もない。」

「…え?」

家族も、家もない?

「どういうことだい…?」

彼女がここに来たのは、いつのことだったか。
確か……

初めて彼女と会った時を思い出す。

彼女は……

「加賀のなまりだった…」

じゃあ、加賀を制圧した時に、秀吉が見初めたのか?

「ああ、そうだ。あいつは前田の屋敷から連れてきた。あの屋敷での唯一の生き残りだ。」

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