第4章 犠牲
バンバンと大きな音。
それと同時に聞こえてくる高い何か。
なんだ?
その高い音は、僕の名前を呼んでいるような気がする。
いや、叫んでるというべきか?
「竹中さま!竹中さま!」
誰だ?聞きなれない声だ。
「竹中さま、開けてくださいませ!」
そこまで来て、やっと完全に現実世界に引き戻される。
「竹中さま!」
襖の向こうから聞こえる悲鳴に近い声。
襖を叩く音。
…何が起きている?
敵襲?
「どうしたんだい?」
相手を落ち着かせるために、わざとゆっくり落ち着いて話しかけた。
「竹中さま!大変でこざいます!」
「だから、どうしたんだ?」
「秀吉様が…!」
秀吉の名を聞いた刹那、ザァッと冷たいものが体中に走った。
朝の話し合いの会話が頭の中で再生される。
まさか。
襖に飛びついて乱暴に引き開ける。
あの日の侍女が、切羽詰った顔をしていた。
「…どうした、秀吉が何を!」
「彼女を…手に掛けるかも知れませぬ!」
…やっぱり。
「今、二人はどこにいるんだ?!」
「秀吉様のお部屋でございます。」
「わかった、ありがとう。」
僕は急いで部屋を飛び出した。
少し嫌だったが、関節剣を腰にさして。