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糸車 2

第3章 ゆびきり


彼女の甘い髪の香りが、僕を刺激した。
このままでは押し倒してしまいそうで、体を離す。
今が朝であることを憎んだ。

「じゃあ、続きは今夜にしようか?」

「……半兵衛さま!」

「冗談だよ…と言いたいところだけど、違うかもしれないね?」

彼女は顔を赤くしながら、ため息をつく。

「………というか、私は朝餉を持ってきたのでございました。」

「そうだね、いただこう。」

ようやく朝らしい雰囲気になる。
彼女がテキパキと準備していくのを眺めていると、また、咳が出た。

「……げほっ。
しつこいな、この咳は。」

「半兵衛様、やはりしばらくお休みになられてはどうですか?
まだ完治していないのかもしれないのですから…」

そうしたいのは山々だ。
ただ、秀吉を一刻も早く止めなくてはならない。
それから休んだって、きっと遅くない。

「心配してくれてありがとう。
でも、大丈夫だ。」

彼女も秀吉との件を察したのだろう。
しつこく迫ることは無かった。







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