第1章 シェアハウス
次の日、起きた時には雅紀はもういなかった。
寝坊でもしたのか、いつもは洗って行くマグカップも今日は机に置きっ放しで。
雅紀らしいな、って寝起きのぼーっとした頭で考えた時ケータイが音を立てて震えた。
【翔くんハッピーバースデー】
智くんからだった。たったそれだけの素っ気ないメールだけど、俺は嬉しくて早速保護した。
「今年も智くんデレかよ…」
一人嘲笑的にごちて、仕事の準備をすべく洗面所へ向かった。
歯を磨きながら考える。
今日、雅紀は何時頃帰るのだろう。誕生日だからというわけではけど会いたい。昨日みたいに帰ったら爆睡されてる可能性はなきにしもあらずだ。不安に掻き立てられた俺は雅紀にメールを送った。
【今日、何時に帰る?】
すると、数分後に
【19時ごろかな。どうかした?】
という返信があった。
【いや、なんでもない。仕事頑張って】
すぐにそう返して、朝の支度を終わらせようとケータイを手放した。