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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第34章 昏睡による覚醒より


『その作用は、本質的にX波と同じです』

『ジャミングみたいなものか?』

その言葉が、頭の中でくりかえし残響する。

……私は一体なんなのだろう。
           、、、、、、、、
異変を解決したいのに、自分が異変と同質だなんて。

「彼は外部からの力で起きています。自ら、自然に起きているのではありません。つまり……」

「“このまま覚醒させ続けるのはよくない”」

ぴくっと自分の肩が跳ねるのがわかった。

言いよどんだ医師のかわりに続けたのは、ギルだ。

尋ねるというより、ただ事実を述べたような言い方だった。

躊躇のない、その簡潔な物言いに、医師は静かに頷く。

異変によるX波、その作用と似た“私”。

単純に、ロヴィへの影響は2倍になる。

それがいいか悪いかなんて、考えるまでもなかった。

“ジャミング”

――なんて、異世界人にお似合いの単語だろう?

「何も言うな、何もするな」

「――っ」

不意に、目の前をギルの腕が遮った。

無意識に私は、扉のほうへ足を踏み出していたらしい。

有無を言わせない、温度も色もない声に、全身が踏みとどまされた。

ギルの視線は前を向いていた。

私を見てはいなかった。

「……」

誰も、何も言わない。

重苦しい空気が立ちこめる。

緩やかなスピードで、胸の中を仄暗い感情が浸透していく。

私は、なんのために――
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