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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第34章 昏睡による覚醒より


「あーっはっはっは!」

突如、病室に高らかな笑い声が響いた。

その主を除いた全員が、ギョっとして彼を見る。

彼は、ロヴィーノは、おかしくてたまらないとでもいうような表情で、目のふちの涙を指で拭った。

「はー、やっぱお前、規格外だよ。こんなぼんやりしたフツーの女一人が、異変と同格だって?」

「ぼ、ぼんやりって!」

まるで「こいつが宇宙大魔王(渾身のギャグ)だって?」というような言い草だ。

ひーひーと、なおも笑いをこらえきれていないロヴィーノ。

完全にツボに入っている。

喋るなと言われたのに、思わずつっこんでしまった。

「た、確かに……いや医師はそれ以上とも」

ハッとしたように、菊が医師の言葉を重ねる。

「世界を滅ぼしうる力、イコール公子ちゃん、ってことだよね……ちょっと元ヤン眉毛をプチッとやってもらえないかな~!」

「あ、ええなそれ!」

フランシスとアントーニョが謎の団結力を見せる。

フェリちゃんはロヴィの傍らでくすっと笑っていた。





――あっという間だった。

一番の被害者だというのに。

ロヴィーノは、一瞬で空気を変えてしまった。

ツボに入った笑いは、ようやくコントロールできるレベルになったらしい。

笑顔が、ゆっくりとそのすがたを変容させていく。

「――他にいるか? こんな異変と張り合うようなやつが?」

嘆く気も、恐れる気も、さらさらないとでもいうように。

いつものような、煽るように強気な声が、小気味良く病室に響く。

迷いのない瞳は、強い光を閃かせていた。

彼の問いに、皆が沈黙する。

けれどその沈黙は、さっきとは全く異質のものだ。

真逆の――希望に属する沈黙。

ロヴィーノはそれを満足げに見ると、挑戦的な瞳の輝きを一層燃え上がらせて、その目を薄く細め、

「そんなやつ、この世界のどこにだっていやしねぇよ」

不敵な笑みに、口元を歪めた。

それはまるで、誰かへの宣戦布告のようだった。
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