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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第34章 昏睡による覚醒より


「……っ、すみません……」

「なっなんで謝んだよ。お前のおかげで俺は起きてられるらしいぜ?」

面食らったのか、戸惑い気味にロヴィーノは言った。

心から不思議そうな顔をしている。

その視線を受けるのがつらかった。

x波を知るまであった、自分の意志の土台が、とても脆いとわかってしまったからだ。

今の私には、ここまで身近になった“異変”が、とてつもなく大きな壁に見える。

車の中で、ロヴィーノの再昏睡を聞いたとき。

脳細胞のどこかが、急速に温度を失っていった。

――いつか、地下で意識障害になったときのように。

「そのことなのですが……」

医師が、言いにくそうに私とロヴィーノの間に入る。

「x波が取り除かれているのではないようなのです」

「公子ちゃんがx波を無効化してる、とかじゃないの?」

ずっと黙りこんでいたフェリちゃんが、不安を押し殺した声音で問う。

医師は、首を縦にも横にも振らなかった。

思案顔で、言葉を探している。

「無効化ではなく、相殺、と言いますか――
同じ、いえ、より強い“力”が、x波の影響を非常に弱めている、そんな状態です」

「なら、結果的に無効と同じじゃないの?」

「無効が、x波を消し、正常に戻す、という意味なら同じではありません。
x波は依然としてあります。
今、彼を覚醒たらしめている“力”というのは、
x波を消すのではなく、その上からさらに“力”を加えて、覚醒させている、というか……
その作用は、本質的にx波と同じです」

「ジャミングみたいなものか?」

ギルが、感情の見えない声で尋ねる。

言葉選びに困っていた医師の目に、「あっ」と気づいたような光が走った。

「そうですね、性質としてはそのようなものです」

フェリちゃんが、小さく唇を噛むのが見えた。
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