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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第34章 昏睡による覚醒より


病室に戻ると、ロヴィーノは起きていた。

私の移動に伴うように、昏睡からの覚醒が再び起きたようだった。

脳波計も同じような変化を示したらしい。

移動距離と時間を、車を手配した菊に報告する。

菊は大まかな計算をして、私が影響を及ぼす距離を算出した。

それから医師や、ギルとなにか難しい話をしていた。

理解しようとするが、聞いているだけで精一杯だ。

――まだ、なにを言えばいいのか、わからなかった。

「食えよ」

ふいに、右腕になにかが押しつけられる。

見ると、ロヴィーノがトマトの水ようかんのような、ゼリーのようなものを差し出していた。

「あ、ありがとうございます……」

「なに暗い顔してんだよ。俺とお前で向こうに乗り込んで、奴らをぶん殴ればいいってわかったじゃねーか」

ぶっきらぼうな言い方に、元気づけようとするロヴィーノの意志を感じた。

促され、トマトゼリーようかん(?)のビニールを剥がす。

ビタミンカラーの透明な全貌が露になった。

ぷるぷるしていて、つぶさないか緊張する。

口に運ぶと、甘いトマトの味がした。

ほんの少し酸味もある味が、口の中に広がっていく。

同時に脳が、体が、温度を取り戻していくような感覚がした。

なんだか、こういうものを食べたのは、随分久しぶりな気がする。

「……おいしい」

「だろ? アントーニョが本田から聞き出した調理法で作ったんだぜ!」

なぜかロヴィーノが得意げに笑う。

にしても、なんという水ようかん技術強奪……国家機密漏洩……。

「――っ」

ふと、泣きそうになっている自分に気づいた。
        、、、、、
――なんで私が、ロヴィーノに慰められているの?
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