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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第4章 夢かうつつか?


菊がひいてくれた椅子にぎこちなく座る。

「ちょっとお待ち下さい」

そう言い、菊は台所の方に向かった。

残される私と耀。

彼の背には、いつも菊が羽織っているような、渋い色合いの服が被されている。

突っ伏したテーブルには、ペンが散乱していた。

「なにこれ……」

私は思わず、声をもらしてしまう。

まさに山のような、書類があったのだ。

しかもあろうことか、カラフルにマーカーが引かれていたり、赤で細々書き込みされていたり、一面小さい数字の羅列だったり。

一目見ただけで、目眩がした。

「じじいなのに君達無理しすぎ……」

規則正しく寝息をたてる耀を見ながら、私は呻いた。



それからすぐ、菊が戻ってきた。

手のプレートには、三つの湯のみ。

「粗茶ですが」

「ありがとうございます」

菊の淹れた緑茶は、柔らかな湯気を立ちのぼらせている。

勿体なくて、とても飲めない。

耀のそばにおき、最後に自分の湯のみをおいて、菊は座った。

「さきほど知人から紅茶を頂いたのですが、公子さんが苦手な種類でしたら申し訳ないので……緑茶でよろしかったですか?」

さきほどって、こんな夜にお客様でもいたのかな?

紅茶を菊に持ってくる“知人”なんて、一人しか思いつかないんだけど……

「はい、緑茶大好きなので!」

「それならよかったです」

笑いをかみ殺しながら返事をする。

菊も安心したように微笑した。
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