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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第33章 閉じ始める序説まで


突然、アントーニョが100%笑顔のままバターンと倒れた。

やりきったかのような笑みに、思わず脈拍を確かめかける。

アーサーは慌てて駆け寄ると、しゃがみこんで泣き出しそうな声をあげた。

「お、お前、しっかりしろ! ばかぁっ! 死ぬんじゃねぇっ!!」

「大丈夫だって坊ちゃん、寝てるだけ」

フランシスがなだめるように言うと、え? とアーサーは涙目をしばたいた。

確かに……アントーニョの胸は上下しており、顔――寝顔はクマがあるものの、安心しきっている。

「この三日間寝てないんだから、当然か」

「三日間!?」

つまり――ロヴィ救出のためにテレポート(川へダイブ)してから、三日たっている、てこと?

「とりあえず部屋に戻ろう。いろいろ話すことかあるみたいだし……ね」

フランシスは意味ありげに目配せしてきた。

まるで、なにかを知っているかのように。

「すぐそこで、皆待ってるから」

眩しそうに頭上に手をかざし、そう続ける。

太陽が地平線から少しずつ顔を出していた。

海に零れた光は乱反射して、水面でぱちぱち輝きを弾けさせる。

泣きたくなるくらい美しい朝焼けだった。

“戻ってきた”――やっと、そう感じた。

アントーニョを背負ったフランシスに連れられ、私たちは港をあとにした。
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