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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第33章 閉じ始める序説まで


「アーサーさんもです。アーサーさんがいなければ、ここにちゃんと帰って来られたかわかりません」

「うん、俺もそう思う!」

突然回ってきた話題と、フェリちゃんの無邪気な同意に、

「え」

アーサーは明らかな戸惑いを見せた。

面と向かって褒められた経験の少ない人が、思いっきり褒められた、みたいな顔だった。

「そうなん?」

驚いた親分は、はたとアーサーに目をやる。

見つめられ、「う」となぜか後退りするアーサー。

ダメ押しとばかりに、フェリちゃんがうんうん頷く。

フランシスもなぜか「さすがじゃないアーサー」と口をはさむ。

アントーニョは、なぜか申し訳なさそうに眉を寄せ、涙を増量させた。

「今まで……お前のこと、メシマズクソ眉毛くたばれいつか殺すと思ってたんけど――」

「て、てめ――」

「有能で頼りになるし、そんなにボロボロになって……ロヴィのために頑張ってくれたんやな……」

「……っ」

同時の罵倒と賞賛に、アーサーは反応速度が間に合っていなかった。

ただ顔をかーっと赤くし、まごついている。

ひとつ言っておくと、アーサーの服が切れたりボロボロになっているのは、窓ガラスをぶち破りダイナミック入退室したせいだと思う。

しかし、アントーニョの手放しの感謝に、アーサーはまるで未知の物質と相対したような面持ちだ。

「べ、別に、俺は――っておいいいぃぃ!?」
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