第33章 閉じ始める序説まで
アントーニョはそう叫ぶなり、わーわーと泣き出した。
堰を切ったように、抑圧されていた感情が溢れ出ていた。
それは子どもの大泣きにも見え、ロヴィーノはあたふたと慌てだす。
「う、な、泣くなよっ……ちくしょー……」
しかし、言葉がうまく出てこないのか、語尾も消えかけていた。
それきり口をつぐんでしまう。
そればかりか、慰めようとしたロヴィーノ自身が、泣きそうに唇を噛み締めていた。
瞳の縁には、大粒の雫がギリギリのところで落ちないようバランスをとっている。
が、あえなく決壊、
「……っ、な、泣くなっつんだよこのやろおおおおぉぉぉぉぉ!!」
負けず劣らず、盛大に泣き出した。
親分だけでも十分うるさいのに、2倍になるとうるさいことこの上ない。
けれど、泣きわめく二人の光景は――例えようもなく、とてもあたたかいものに見えた。
「フェリちゃんも公子ちゃんもありがとうな! ムカつくけどアーサーも!」
「俺なにもできなかったよ」
「そんなわけないやろ、フェリちゃんがいてくれて、ロヴィがどんだけ安心できたか」
「うっ、うっせぇ!」
一連の流れに、アーサーは(ガラにもなく)もらい泣きしそうになっていた。
美しい兄弟愛にでも泣けてきたのだろうか。
ふと、私の耳元で、エンターテイナー(悪魔)がある思いつきを囁いた。