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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第31章 He want not to stay,


「おわっ!?」

――はずだったが、それはほとんど体当たりだった。

「よかった! また会えて本当によかった! どこも怪我はないですか?」

「今ので打撲した気がするぜちくしょー」

軽口をたたくロヴィーノに、思わず笑みがこぼれる。

(おそらく照れ隠しだろう)苦々しい顔には生気が宿っており、体を見回してみたが怪我らしい怪我は全くなかった。

むしろ、いなくなるときの顔色と比べて、ずっとよくなっているような気さえする。

普段と変わらぬ姿のロヴィーノがそこにいた。

異なっている点があるとすれば、簡易な手錠に拘束されているという点か。

出血箇所もない。

ん……? じゃああの殺人現場の血痕は誰のものだったんだ?

「お前こそ大丈夫かよ、随分うなされてたぜ」

「そうだったんですか? 全くもって大丈夫です! ロヴィーノ様にまた会えて元気百倍です!」

「なあ……からかわれてるのか俺?」

かしゃり、と音がして、音源の手元を見る。

するとやはり、私も手錠をかけられていた。

さっきロヴィーノに抱きつけなかったのはこのためか。

あたりを眺めると、目覚める前と同じような光景が広がっていた。

無味乾燥な牢屋、今度は椅子もなにもない。

唯一ある扉には、上部に小さな窓がついているが、その先は真っ暗でなにも見えなかった。
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