第5章 あなたの中の私たち
「ハンジさん…これハロルドさんからです。」
ハロルドの所から帰ってきた二人は
花ではなくクシャクシャになった紙袋を持って帰ってきた。
どのくらい握りしめていたのか紙袋は人肌に温まっていた。
『ありがとう…花はなかったのかい?』
「今は…休んでいるそうです。」
『そうか…これは?』
ガサッと紙袋の中身を確認する。
そこには赤い筒が入っていた。
きっと…これは…紅茶の缶だ。
ハンジは中身を出すことなく、
ハハッと短く笑うとジャンへと再度お礼を伝えた。
ジャンに中身を聞かれたが、
それは内緒だと誤魔化した。
ジャンが出ていった後、私はすぐにモブリットを呼んだ。
「どうしましたか?分隊長。」
『紅茶が届いた。淹れてくれるか?』
モブリットは喜んでと微笑んだ。
しばらくするとハンジの横に
いい香りのする紅茶が置かれた。
…この匂いは身に覚えがある。
自然とハンジの胸は高鳴った。
そして、ゆっくりとその紅茶を一口流し込んだ。
その瞬間…涙が一筋…頬を伝った。