第5章 あなたの中の私たち
足早に歩く俺と少年がすれ違った。
俺よりも身長は高く、背だけ伸びたと言う表現が正しいような…まだ未熟な体。
その少年とすれ違った時…
今までにないような頭の痛みが一瞬走った。
そして、お互いが振り向き…
二人の時間を止めているかのようだった。
俺は知っている。
あの金色の目をした少年を。
「嘘だろ…リヴァイ…兵長。」
何度も聞いたその名前。
少し前ならば人違いも良いとこだと笑っていたのだろうが、今はなんとなく他人とは思えない。
「生きて…いたんですね。本当に。」
その少年は徐々に俺に近付く。
無意識だった。何も考えていなかったのだと思う。
「エレン…」
我に帰った時は口走った名前に
自らも驚いた。
なぜ、その名前だったのか…
自分でもわからない。
「えっ…俺の名前…何で…」
堪らずエレンから目を逸らした。
何で…そんなの俺が聞きたい。
何故、俺はお前を知っているのかと。
「…さぁな…」
そう言い残すと俺は足早に逃げるようにその場を去った。