第4章 あなたと最初から
「………そうか」
ハロルドは私から視線を外した。
『あぁ。そうだ。
なぁ、ハロルド…美味しい紅茶を売ってるところは知らないか?
わたしの紅茶が切れてしまって探してるんだ。』
わざと話題を変えた。
この空気に耐えられそうになかったから。
「それなら…一件、知っている。
なんなら俺が買っておいてやろう」
『本当?良かった!』
わたしが笑顔を見せるとハロルドの顔が緩む。
この表情の緩み方は…
記憶をなくす前から変わらない。
急にハロルドの手が伸び、私の頬をそっと触った。
私は一瞬ビクッと反応したが…
その手を退かす事なくハロルドは私を見つめる。
「ハンジ…」
低く呟かれた声は…懐かしい彼の声。
ボヤッと視界が涙で遮られた。
泣くな。泣いたらいけない。
そう頭では解っていた。
私はたまらず彼の手をぎゅっと握った。
そして、絞り出すように小さな声で呟いた。
『………リヴァ…イ…』
触れて欲しかった手が私の頬にある。
感じたかった温もりが今私に触れている。
頬に触れられた手からも彼の
体温や脈が感じ取れる。
…生きている…
リヴァイは…生きているんだ。