第3章 あなたの生存確率
『ハロルド…あなたは…
記憶がないんじゃないのかい?』
「…あ?」
まだこめかみのところを押さえながら歩く
ハロルドの背中に声をかけた。
彼は決して振り向かなかった。
「……ちっ。」
また痛み出したのだろうか
舌打ちを小さく打った。
『君は…リタ達の記憶があるの?』
思い出して …
愛し合うべきはあのリタではない。
私だったんだということを。
「…リタとの記憶は…ない。
しかし、それを忘れてしまっているんだと思う。」
…何て…言った?
「俺は目が覚めた時は…何も覚えていなかった。
リタが…教えてくれた。
ここで3人で暮らしていたことを。
思い出せないが…でも懐かしい。
少しずつで良いからとリタは俺を責めやしない。
なぁ…ハンジよ。
どうしたらリタ達との過去を思い出せることができる?」
…違うんだ。リヴァイ…
君が忘れているのは…調査兵団だ。
そして…私だよ。
誤算だった。
リヴァイ自身が、ここに今いることを
不自然と捉えていてくれるのだと思っていた。
少なからず…自分は記憶がなく…
ここの人間ではないと自覚しているものだと思っていた。
だが違う。
リヴァイは…
ハロルドとしての、記憶を落としてきたと思っている。
記憶をなくす前からも、自分は…
ハロルドだったと疑っていない。
『どうって…頭でも強打してみたらどう?』
「…兵団もクソみたいな事言うんだな」
少し笑ったハロルドに胸が締め付けられた。