第6章 あなたの葛藤
二人きりになった部屋で
ハロルドは椅子にもたれ天井を見ている。
そして、大きくため息をついた。
『…どうしたんだい?』
声をかけるとハロルドは目のみこちらへ向ける。
「…思い出せねぇな。」
『なんだその事か。焦らなくても…』
私が笑うとハロルドは舌打ちをした。
「今の俺じゃ…お前を守れねぇ。
エレンの事も…エルヴィンの事も…
早く思い出さねぇと…俺は兵士長なんざ名乗れねぇよ。」
その言葉に私は少し笑ってしまった。
…十分…態度も話し方もリヴァイだけどなと。
『ありがとう。ハロルド。』
またハロルドは舌打ちをする。
私が首をかしげると、ハロルドは
私から目線を外した。
「…これじゃ俺は…片想いだろうが…」
『ん?』
ハロルドが椅子から立ち上がり私の腕を掴んだ。
その弾みで私はハロルドの胸にうずくまってしまった。
「お前が見ているのは…リヴァイだろう。
俺じゃない…それじゃいけねぇんだよ。」
…そういうことか。
私はそっとハロルドの腰に手を回した。
『そうだ。私が好きなのはリヴァイ一人だよ。
…早くあなたの中のリヴァイに会いたいんだ。』
また一つ、頭上から舌打ちが聞こえた。
心臓の打つ音が早まった。
きっと頭痛がするのだろう。
それでも…私は…リヴァイを呼び続けた。
早くそこから…私に会いに来てくれるように。