第6章 あなたの葛藤
『…何?』
そう聞いてもハロルドは、何も答えない。
私の頭を掴む手に少し力を入れた。
「ハンジ…思い出してやれなくてすまないな」
そう確かに…呟いた。
『何…言ってるんだか。』
「俺は記憶をなくす前…お前を愛してたと聞いた。
お前が俺の帰りをずっと待っていたと。」
『エルヴィン…の奴め。
…ハロルド…リタはいいのか…』
自分がどれだけお人好しなのかと
我ながら笑いが出そうだ。
ハロルドは自分の意思で…
リヴァイになるべく、ここに来たというのに。
リタとリッツの事が気になるなんて。
「…リタとは今度しっかり話す」
そう言って私の頭から手を離した。
顔を上げると少し下にハロルドの顔がある。
そっと頬に手を伸ばそうとして…
やめた。
…触れたらまたいなくなりそうだ。
そう心の中で呟いた。
「兵長ー!あっ!いた!兵長!!
昼からの訓練ですよ〜!」
新兵だろうか…廊下の奥で
手を挙げハロルドを呼んでいる。
彼はその、新兵の方を向き小さく舌打ちした。
「またな。」
そう言って彼は新兵の方へと歩いて行った。