第5章 あなたの中の私たち
「そうだな…リヴァイ目当ての娘さんも
私へと目移りしたようだ。」
冗談交じりのその言葉は
『嘘』なのだと何となくだが解る。
『モテる男も辛いね。』
椅子がギッと音を鳴らす。
エルヴィンへと向きを変えると
薄暗い部屋で灯りで照らされたエルヴィンは色っぽい。
オンナが放って置くわけないのだと思う。
エルヴィンも…リヴァイも。
「リヴァイは…良い男だったか?」
『何…急に』
エルヴィンはソファーから立ち上がり私の横に立った。
そっと私の肩を触ると優しく微笑んだ。
「リヴァイの事だ。肌を重ねたのは少ないんだろう。
それでも…ハンジの中にいるリヴァイはさぞ美しいものなのだろうな。
この5年…幸せだったのか?」
『そうだね…幸せだったよ。
貴族の娘の香りをさせてきて
私なんかよりその娘の方が抱く回数も多かっただろう。
でも私はそれでも…幸せだったよ。』
エルヴィンの方に置かれた手が離れた。
そして、エルヴィンは机の上で揺れているランプを吹き消した。
辺りは真っ暗になり月明かりが
ボンヤリとエルヴィンを映し出した。
「リヴァイは一度だって…貴族の娘を抱かなかったよ。」
そう呟いた。