第5章 あなたの中の私たち
『もう湯浴みをしたのかい?珍しいね』
今しがた帰ってきたエルヴィンがすぐに
入浴を済ますのは珍しい。
お酒も入っているのか少し顔が赤らめていた。
「…君の嫌いな匂いだと思ってね。」
『アハハー!そんなの覚えてたのかい?
やだなぁ〜』
幹部しか招かれることがない貴族の食事会。
エルヴィンとリヴァイは何ヶ月かに一度招かれていた。
貴族との食事会と聞けば
豪華な食事が出てさぞ、いい思いをするのだろうと皆は言うが…そんなに甘くはない。
人類の希望となるエルヴィンとリヴァイは貴族の格好の目当てなのだ。
貴族の力を利用し
体を求められることも少なくないと聞いた。
人類最強の兵士の種を我が娘に。
そんな台詞をクソみたいに聞いたとリヴァイはいつも溜息をもらしながら正装を身に纏って出かけていた。
深夜遅くに帰ってくるリヴァイからは
鼻をつくような甘い匂いがいつも放たれていた。
そんな日は…リヴァイは決して私の部屋へは来なかった。
女を抱いてきた…という事実だけは私にも解っていた。
だから私はこの匂いが嫌いだ。
『エルヴィン…1人で相手するのも大変だったろ?』
少し棘のある言い方で言うと
エルヴィンはユックリと笑った。