第5章 あなたの中の私たち
「俺っ、ハンジさんが好きです。
兵長の事を真っ直ぐに見つめるハンジさんが好きです。
ずっと…それを見てきた。
でも…もう限界です。
そんな顔してるハンジさん見てられないっ!」
あの日…リヴァイの死を聞いた日…
あの日から私は笑えていただろうか。
機械的に書類に判を押し、目を通し
あれほど好きだった巨人の研究も進まず
悩み…苦しみ…
頭の中は…悔しいほどにリヴァイに染められ
壁外調査では…失態を犯しジャンに救われた。
思い返せば…なんて情けない姿だろうか。
『ごめん…ジャン。
ジャンの言うとおりだ。
そして、ありがとう。
こんな私を…女と見てくれて。』
「何すか。それ」
ジャンは眉をひそめ笑った。
私が好きな笑顔で。
その日の深夜遅く。
1人の執務室で滞っていた巨人の実態調査の資料を作っていた。
扉をノックする音がして返事を返せば
そこには貴族の食事会から帰ってきたであろうエルヴィンが立っていた。
入浴を済ませたのか、いつも整えている髪は
下ろされて少し若く見える。
「ハンジ…遅くまでご苦労だな。」
『エルヴィン…入っていいよ。もう終わるところだ。』
そう伝えるとエルヴィンが
お邪魔するよ…と一言断り中へと入ってくる。