第5章 あなたの中の私たち
「おい。」
後ろから呼ばれ振り返る。
『…ハロルド…』
「久しぶりだな…元気だったか?」
『あ…あぁ…』
私はまた噴水の方へと向きを変えた。
そうでもしなければ…涙が溢れてくる。
後ろから足音が聞こえ、ハロルドが近づいて来るのが解る。
『こっ…!紅茶…ありがとう…!
それを言いに来た!!それだけだ!』
ハロルドは足を止めた。
「うまかっただろう?」
『あぁ。……あの味を私は知っていた。』
「そうか…不思議だな。
あれは俺のオリジナルだが。」
「ハンジよ…なぜこっちを向かない。」
背中で話す私に苛立ってきたのかハロルドは
私にこちらを向けと要求する。
私は笑いながらも…それを拒否した。
その瞬間…足音が急に近付き
私の肩を強い力で引っ張られた。
『あっ…』
涙で濡れた頬を見て、ハロルドは手を離した。
「なんで…泣いてやがる…」
『紅茶が…美味しかったんだ。』
「はぁ?」
ハロルドの声からは苛立ちが手に取るように解った。
昔から、リヴァイは回りくどい事が嫌いだ。
考える事は苦手なのか
面倒クセェ…とよく舌打ちをしていた。
それも今の状況もその苛立ちの原因なのだろう。