第1章 ~PROLOGUE~
??「あら? 千鶴ちゃんに、雅紀君じゃない」
診療所の戸締まりを、していると近所
女性がこえを、かけた。
雅紀は、急いで千鶴の後ろへと隠れてしまう。
千鶴「あ、おばさん。こんにちは」
貴「こ、こん…にちは」
おばさん「こんにちは。ところで、そんな格好でどこ行くんだい?」
小太刀を差した二人は、どう見ても凛々しい若侍の様だ。
千鶴「京の都までです」
千鶴が、答えるとおばさんは、目を見開いた。
おばさん「京? あんた達2人でかい?」
二人の父、雪村綱道も京へ上がったのだったと、思い出しながら訊ねた。
千鶴「はい。 しばらく留守にします。」
おばさん「そうかい。 でも、京は治安が悪いって、聞くから気をつけるんだよ?」
千鶴「はい。ありがとうございます」
にっこりと、笑い千鶴は頭を下げて、
雅紀と、共に、診療所を後にした。
歩き始めて、賑やかな市中へと差し掛かったとき、雅紀が口を開いた。
貴「ねぇ、今どこに向かっているの?」
千鶴「まずは、松本先生の所へ行かないと
ね 父様も何かあったら、頼りなさいって言われたし」
江戸から京まで、だいたい2週間ぐらいかな?
宿は、出来るだけ安い所にとまらなくちゃ…
父様…早く会いたい。