第3章 2日目
「ッはははは!!」
その話を聞いていた佐助が突然腹を抱えて笑い出した。驚いてしまい、その様子を見つめて口が塞がらなかった。
「ひ、はぁ、笑った笑った....っ」
「だ、大丈夫か...!?」
「ごめん、ちょ、阿呆臭くて」
「あッ!?」
カチンときたが、今ここで怒鳴ってはただの我儘な女のようになってしまうのは私にもわかった。ので、おとなしく理由を聞くとにした。
「態々火をたいて煙出してさ、ここに誰かいますよって、狙われる立場の俺様達がそんなヘマすると思う?」
「....え、な、ならなんで」
「それはアンタがいたからこそだよ」
つまりはこういうことだった。
私が食べやすいよう気を使って火をおこし、肉を焼いてくれた。
だが火をおこしてしまうと煙が出て、それを不審に思った狩人がこちらに来てしまう。だからいつもならこんなことはしない。
今回は私(人間)がいたからこそ火がおこせた。万が一狩人が来たとしても私がいるのなら2人に被害が及ぶことは考えにくい。
そういうことだった。
「アンタは人間、それを利用させてもらっただけだよ」
佐助は得意げにふふんと笑うと焼いてある肉にまたかぶりつき、いつの間にかぺろりと自分の分を食べ終わった。
「...私が焼かせちゃったんだ」
「す、好きで焼きましたので、気にしないでくだされ」
幸村は私の気が落ないようどうにかして励ましてくれた。本当にあの勇ましい虎なのかというくらい眉は下がりきっていて、まるで猫な可愛げがあった。