第9章 8日目
「何故は狼なんだ?」
私は出会ったばかりに等しい。
「私には理解しかねる」
狼とは大抵群れでいるものだ。稀に群れとうまくいかず孤立する一匹狼もいるががそうだとは思えない。
私達が送り届けた時、親と思われる男女に相当心配されていたと見受けた。それに村の人間達も私達を排除し、を救おうとしていた。
孤立する狼とはかけ離れているように感じる。
「俺様はなんとなぁく分かったけどね」
何を言っているのだ、猿飛は。
「俺様と風魔は先に偵察に行ったろ?あん時に村の人にちゃんがどう思われてたかっては分かったよ」
「なんだと?」
「ちゃんは独りだ。」
猿飛が言う。
はどうやら狩人か商人を選ばざるを得ない状況にいたらしい。
商人として生きるのなら読み書き計算は勿論の事、人と話す訓練をしたり物覚えの良いもので無ければなる事はできないらしい。
だがはそれらが苦手で殆どできずに仕方なく狩人にまわされてしまったのだとか。
「で、そこで何故は独りになる?」
「大事にされてるようで利用されている。ちゃんもそれを理解した上であの村にいたんでしょ」
名目上は狩人として村を支える一人になっているが、まだ下っ端で信用を得るに足りない。恐らく使い捨ての雑兵と同様の価値だ。
「だが今回、は」
「それは建前だって事だよ、凶王さん。あんたにもわかるように言ってやるよ」
...あぁ
「アンタの嫌いな、裏切りの溜まり場だ」
過去の私がいた場所だと言うのか。
嘗ての私が苦しんだあの状況にもおかれ、今も尚苦しんでいるのか。なぜこの世には裏切りがある?なぜ家族に裏切られる?なぜ捨てられる?
そんな事を考えても行き着く先は『人間だから』。
だから私は、人間を辞める事を戸惑わなかった。
「ちゃんは、限界だったんだろうね。だから旦那を自らをもって助けようとしたんだ」
よく...、わからん。
「私に、何ができる?」
そう言うと猿飛は困ったように笑った。
「信じてあげることでしょ」
決して揺るがぬ強い『絆』か。