第8章 7日目
「ふせろ!」
お父さんの声が聞こえて思わず尻餅をついてしまう。
するとまた、銃声が鳴り響く。
パァァンッ
漆黒の羽根が飛び散り、伏せていた顔を上げると、あぁ、これは、黒梟。
風魔だ。
「な、で、なんでっなんで!?どうしてよ!!?なんで!?」
「離れろ!から離れるんだ!」
「やめてよっ!!私はこの人達が好きなの!」
何でだろう?これは私のせいなんだろうか。
私がこうも出来損ないだから、目の前で三成や風魔が倒れているんだろうか。
「殿!!」
「ゆ、幸村っ!」
「娘から離れろ!!!」
はっとし、気が付く。
幸村は、頭に耳を生やしたままでてきているのだ。これでは村の人に怪しまれてしまう。
「幸村、だめっ早くどこかに隠れてください...!」
「怪我をしているではないか!はやく手当を」
「駄目ですって!」
ぐい、とあちらに押しやっても幸村はどこうともしない。村人達が銃を構えているのに気がついていないのだろうか?
そもそも佐助はどうした、どこにいるのだろうか、彼なら幸村を連れて行ってくれるだろうに。
「はやく、早く戻って!私なら大丈夫ですからっ」
「何を言うか、殿、止血を」
「打つぞッ!!」
また乾いた音が遠くでなった。
「っ!!」
咄嗟に目をつぶり、幸村をかばうように抱き付いてしまった。
彼にはまだ、生きていて欲しいのだ。私は幸村を生きる糧にしてこの先道をあゆみたい。
ならばいっそのこと、幸村のために死にたかった。
「.....え?」
どさ、と、何かが草に埋もれるような音がした。それと同時に鼻にいつの間にか馴染んでいたあの香りが掠める。
どきり、いや予感がして心臓が早く動く。
私に抱き締められたままの幸村はその嫌な予感を感じ取ったのか目を大きく見開いていた。
あぁそうか、私はまた大切なものを
「佐助えええええええ!!!!」