第8章 7日目
ついにきてしまった。
今日という日が。
「そんな顔しないでさ、俺様達ちゃんと付いて行くよ」
「私も行こう」
なんと三成までついてきてくれるらしい。
「お手数おかけします、三成さん」
「...き、気にするな」
風魔は先に行き、安全な道を確認しに行ってくれているらしい。最後の最後まで迷惑をかけてしまってなんだか本当に申し訳ない。
「さ、殿。陽が高いうちにつくように致しますのでそろそろ行きますが...」
幸村は扉から顔をのぞかせ、準備を終わらせた私を呼んでくれた。
こうして私を呼んでくれるのも、今日が最後なのかと思うと胸がとてつもなく痛くて仕方が無い。
「...幸村」
「皆が待っておりますぞ?」
頷いて幸村のあとに続く。
外に出ると既に獣の姿をしている3人の姿があった。
「お待たせ致しました」
私は一言、そう言ってから小屋を振り返る。
きっともうこの小屋とはお別れで、来ることはほとんどなくなってしまうだろう。
そうなれば今、私の事を待ってくれているみんなと会うこともなくなってしまう。駄目だ、悲し過ぎる。
「...っ」
つい、込み上げてきたものが涙となって、頬に伝わせてしまった。
「...はぁ、ちゃん」
人間の姿になっていた佐助が私の肩をぽん、と叩いてくれる。
「別に今生の別れってわけじゃないんだ。会いに来たかったらいつでもこの小屋に来ればいいよ」
「そうでござるよ!某等は殿を待っているぞ!」
「私は西に戻るがな」
「石田殿もここにいるそうだ!」
「人の話を聞け!」
なんだか朗らかな会話で、きっと私の事を励ましてくれているのだろう。
「有り難うございます」
そうだ、来ようと思えばいつでも来れる。少し村をあけてしまうかもしれないけれど、それでも会いに来たければ来ればいいんだ。
「じゃあ、行きましょうか」
小屋を背に、私たちは村に向かった。