• テキストサイズ

虎と狩人

第2章 1日目





「お、おかしいな....あれ...?」

何度も何度も、あの大木を見ているような気がして気味が悪い。

「ちょ、待って、え?」

さっきもだ、あの枝に止まってる烏。同じ枝に止まっている。
日がどんどん落ちていき、空の色だけが変わってくばかりで周りの風景はほとんど変わらない。

「嘘だぁ...まじか....」

私はどうやら、道に迷ってしまったらしい。



もう今夜中に小屋までは帰れないと判断した私は大木の根元に人が数人は入れる穴を見つけて、そこで一晩明かす事にした。
この暗い中を無闇やたらに歩くのは自殺行為に等しい。

「お腹すいたなぁ....」

ご飯を食べたのは数時間前。お昼として打ち落とすことが出来た鳥を丸焼きにして食べたのだ。それ以降、水も口にしていなかった。

──...!、...っ


「ッ!?」

身を潜めた。誰かがこちらに向かってきているようだ。
それが一体なんなのか、わからない。人のような話し声ではあるが、まだ何がソレを発しているかわからないのだ。
変に外に出て、危険な目にあうのならば今はこうして身を潜め、危険から逃れる他ない。

──...ぇっ、...だ、や....

──だ....!!ちょ、....っ


どうやら人間だということはわかった。しかも複数人、男の声...?

前にお母さんから教わったのだ。暗闇で一人になるな、そこに男が来れば確実にあなたは喰われてしまうと。
私は喰われるの意味かわからなかったが、危険な目に遭うというのはわかった。

足音が近づき、声もどんどんはっきりと聞こえてくる。
やはり人間の男のようで、あちらも私がいるということに気がついているらしく警戒しているみたいだ。

「誰」

そう聞こえ、私はここで出るべきか否かを判断せざるを得なかった。判断を誤れば私はどうなってしまうのだろう。喰われてしまうのだろうか。
息を飲んで震える体を自分自身の腕で抱き締めた。



/ 44ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp