第2章 1日目
木々を掻き分け、草を踏みつけ、綺麗に咲き誇る花々を横目に歩き続けた。
記憶を頼りにどうにか小屋にたどり着く。
幼い頃、この小屋はもっと外観も内装も綺麗やはずだったが。
いつから放置されていたのだろうか。人が住める状態ではなくて、まず掃除からしなければならないたみたい。
「....あっ」
ふと、机の上に目を向けると何かが飾られているのに気がつく。
「こ、これ...結構古い、みたい」
着物を着た男の子と、その横にはそのこのお父さんだろうか。二人が仲良く笑いながらこちらを見ている写真だった。
背景は...森だろうか。白黒の写真では判断がつかないが、木々が生い茂っているところを見れば恐らく森だということはわかる。
「この辺の子だったのかな」
この辺に人が住んでいたなどと言う話は聞いたことがない。
森の奥地ということもあり、良くない噂も絶えないのだ。そんな所にわざわざ住む人はいないだろう。
私はその写真立てのホコリをはたいて、綺麗になった机の上に飾った。
「ふぅ」
しばらく掃除を続けていれば、最初の頃とは比べ物にならないくらいきれいになった。
蜘蛛の巣は綺麗に払ったし、良く分からない茸もとってしまった。柵に絡みついていたツルも切ってしまえば、外からの光はしっかりと入ってくる。
「さて、外にいこっと」
こうも室内ばかりにいては気が落ち着かない。もともと活発な性格だったので、中ばかりにいると体調が優れないのだ。
空は澄み渡り、深呼吸をすれば肺の中にすぅっと少し冷たい空気が入ってくるのがわかる。
小さい頃から小脇に抱えてきた猟銃を持ち、私は森の奥へと歩みを続ける。
この辺は道に迷うものも多いらしいが、なんとなく景色を覚えていれば脱出することは可能だ。だから迷わない自信しかない。
「っし...やらなきゃ」
咳払いをし、修行を始めた。