第4章 3日目
「おはようございまする」
突然耳に声が入り、いつの間にやら閉じていた瞼を開いてみた。
「すみませぬ、ゆるりと眠られておったので今まで起こせませんでした」
え?と思い、私は窓の外の景色を見てみるともうとっくに日は昇っていた。
「....ほら、腹減ってるだろ?」
佐助は私の目の前に暖かそうなスープを差し出してきた。とても美味しそうな香り。
「え、いいんですか....?」
「その為に作ったんだ」
そっけなくそう言うと、離れた椅子の方に座って足を組んだ。
なんでいきなり優しくしてくれたんだろう。気になって横にいる幸村を見るとにこにこした顔で私を見ていた。
「お主の力になりたいと思ったんであろう」
「ち、力に?」
「猟のでござる。話してくれたであろう?」
そうだ、私はなぜここにきたのかを話したんだった。
狩人としての腕を磨かなければ村を追い出されてしまうということ。それを話したんだ。
その時は2人共いいような顔はしていなかったから忘れているのだろうと思っていたのに、まさかそれに協力してくれるとは思わなかった。
「何を突然、とは思われましょうが...困った時はなんとやら、でござろう?」
優しく微笑んで首をかしげた。
なんて柔らかい顔なんだろう、とてもあたたかい。
「....でも、それは貴方達を追い詰めてしまうんじゃ」
「某らはお主の力になりたい、それだけでは足らぬか...?」
「い、いえっ」
心配そうに表情を歪め、私の手を取った幸村を見てると申し訳ないが朗らかな気分になる。
「その...有難うございます」
「勝手にやるだけですので、いつものように暮らして下され」
幸村はその後、夜になったら戻りますと言って佐助と共にどこかへ行ってしまった。きっと彼らなりに用事があり、やらねばならない自然の流れがあるのだろう。
私だって、今はやらねばならないこと(狩りの練習)をどうにかしてやらなければならない。