第1章 ++いつもオレを求めていた++
「すまんカカシ」
一度抜けるが、もし御開きにする場合はオレの分を立て替えておいてくれ。
「りょーかい。アレスちゃんも、またねー」
ヒラヒラと手を振るカカシは、そのマスクの下でヘラヘラと愛想笑いを浮かべる。
「…なぁ、ゲキマユ先生?」
席を立とうとした時、ナルトが遠慮がちにベストを引っ張ってオレを引き止めた。声を潜めて言うので、何かと思い腰をかがめて耳を寄せれば。
「先生の奥さんって、すっげー可愛いってばよ…」
アレスへの賛辞だった。
確かにアレスは、旦那としての欲目を無しにしても美しい。
ナルトの目は、どうして先生がこんなに可愛い子と?という疑問がありありと浮かんでいて、オレは思わず苦笑した。
「良い男には良い女が寄って来るものだ」
「そうよ。ガイは素晴らしい男なんだから」
話を聞いていたのか、アレスは真顔でナルトに言った。
自分の気持ちを惜しげもなく晒す性格も、オレがアレスを好きになった理由の一つである。
…どストレート過ぎて、オレの方が赤面ものだが。
「はいはい、ガイ先生は早く可愛い奥さんを送って来てね」
もはや里の誰もが認めるバカップルとまで言われるオレ達の熱愛ぶりに、テンテンが白けた様子でしっしっと手を払う。