第1章 ++いつもオレを求めていた++
「呼んだかしら?うずまきナルトくん?」
「!?お前…、誰だってばよ!?」
突然姿を現したのは、言わずもがなアレスだった。
アレスもアカデミー中退とはいえ、それなりに忍術の知識がある。どういう訳だかオレとの事で少しでも馬鹿にされたと感じると、瞬身を駆使し苦言を呈して回るらしい。
…どこかに盗聴器でも仕掛けてあるのだろうか。
一瞬不安が過ぎるが、面食らっているナルトに改めてアレスを紹介する。
「あー…ゴホン、こちらが妻のアレスだ」
「マイト•アレスです。よろしくってばよ」
キラリと歯を見せながら、ナルトの口癖を真似て笑うアレスの目は全く笑っていない。
殺気に当てられて口ごもるナルトに変わり、オレはアレスの肩を叩いて気を逸らしてみた。
「して、アレス…何か用があったのか?」
尋ねると、くるりと振り向いて妻は言う。
「ちょっと実家に行く用事ができて…今夜は泊まって来るかも知れないから一言伝えておこうと思ったの」
「なら送っていこう」
「大丈夫よ、そんなに遠くないし」
「オレが心配なのだ」
アレスもそこそこ強いとは言え、夜道をひとりで歩かせるには気が引ける。
それに、久しぶりに彼女のご両親にも挨拶をしておこうと思った。
いくら結婚に反対されなかったとは言え、年上亭主に大事にされているか心配しているに違いない。