第1章 ++いつもオレを求めていた++
「いや、そんなのお前の前でだけヨ。あの子、他の男の前では一切笑わないから。むしろ睨みきかせてくるから」
「それはカカシ先生がアレスの恨みを買うような真似をしたからだろう。自業自得だと思うぞ、俺は」
事の顛末を全て聞いている日向ネジが、呆れたように肩を落とした。
「…カカシ先生ってば、何したんだよ?」
「聞くなっ!男には聞かれたくない過去の一つや二つあるもんだっ!」
あまりに動揺するカカシの姿に、オレは苦笑するほかない。オレの妻はあれで結構執念深いのだ。
「結構…というか、かなりの粘着質なタイプよね。まぁそのお蔭でガイ先生と結婚出来たようなモンだけど」
「でも、一途にひとりの人を思い続けるあの姿勢は尊敬に値します。僕もそんな人と結婚したいです!ね、サクラさん!」
「ちょっとリーさん…私に話振んないでよ」
リーの視線から逃れるように、春野サクラが隣のイノに話し掛ける。
「それにしてもよー」
空になったグラスの中の氷をカラカラと揺すりながら、紅の部下が面白そうに唇を釣り上げた。
「ガイ先生はロリコンだったんだなー」
「んなにぉーっ!?オレは断じてロリコンなどでは…っ」
鋭い犬歯を覗かせながら笑う犬塚キバの言葉に、強く反論せずには居られない。しかしいきり立つオレの背後で、何やらシノがテンテンにぼそぼそと話し掛けている。