第3章 ++いつもオレに幸せをくれていた++
そんなことを思ったオレは、食事の手を止めて立ち上がる。そしてアレスの背後に回ると、後ろから思い切り抱き締めた。
「アレスはガイ班の一員だ!」
体を武器に、命を掛けて戦うオレ達忍にとって、帰る場所があるという事は何よりの活力剤である。
「アレスが居るから、オレ達は全力で戦えるし青春もできるんだからな!」
「青春出来るかは別として、アレスのご飯食べると体調良いのよ」
目の前で繰り広げられる熱い抱擁に苦笑しながら、テンテンがオレの言葉に続いた。
「アレスさんのご飯が待ってると思うと、何としても無事に帰るんだー!って思いますよね!」
「…まぁ…楽しみ…ではあるな」
自分の感情を表現する事が苦手なネジも、この食事会が自分の楽しみの一つだと素直に言った。
実際の所、殺伐とした任務の多い中で、温かい食事と自分達を待ってくれている者がいることは、忍にとって掛け替えのない幸せなのだ。
「アレスも、ネジもリーもテンテンも、オレの大事な家族だ!!」
高らかに宣言すれば、満足げにアレスは笑う。
アレスが笑うとまるで光が射すかのように、周りまで明るくなるのだ。
「家族と言えば」
しかし、続くアレスの言葉に、オレは冷静さを失わずには居られなかった。