第3章 ++いつもオレに幸せをくれていた++
「それよりもまずは、食事にしましょう」
オレの前にあるコンロに、アレスが別の鍋を置きながら言う。
「今日の鍋は、波の国から取り寄せた海鮮チゲ鍋です!」
「「おぉー!!」」
蓋を取れば、一気に立ち上る湯気とマグマのように赤い鍋にオレとリーのテンションが上がる。
「テンテン達の鍋は、出汁が決め手の海鮮塩鍋よ」
「やったー!」
辛い物が得意ではないテンテンとネジの為に、アレスは別に鍋を用意していた。こういう気遣いが自然に出来る彼女の優しさが、オレは大好きだった。
「それじゃあ、皆で頂きましょう!」
「皆たくさん食べるんだぞ!」
「お言葉に甘えます!」
「頂きまーす!」
「その前に乾杯は?」
「あ、そうだよね。今日も任務お疲れ様でしたー!」
「「かんぱーいっ!!」」
杯を交わしながら、楽しい食事が始まった。
「ネジ、春菊も食べなさいよ」
「…アクが強い物は好きじゃない」
「好き嫌いせずに食べなきゃ駄目よ。春菊はビタミンたっぷりなんだから」
風邪予防に食べなさいと、アレスは勝手にネジの器に春菊を寄そう。
その様子を見て、テンテンが可笑しそうに笑った。
「何だかアレスって、お母さんみたい」
「…俺の方が年上だがな」
世話を焼かれたネジは、ふてくされたように言う。