第3章 ++いつもオレに幸せをくれていた++
「食べてる量はそんなに変わらないと思うけど…」
カロリー計算もしてるし、とぶつぶつ良いながら、アレスはコンロに鍋を置く。
「先生ってばさぁ」
台所で煮立たせてきたその鍋を見つめて、テンテンが徐に呟いた。
「最近修行してる?」
「うっ」
「アレスとずっとイチャイチャしてたい気持ちは分かるけど、修行の時間は削っちゃ駄目だと思うな」
「テンテンの言うとおりだ。忍は常に鍛錬を怠るべからず、だろう?」
「先生!食後に修行しましょう!僕も付き合いますから!!」
部下に言われては立つ瀬がないが、言われるように修行の時間は格段に減ってしまっている。
人手不足で任務に駆り出される日々。
里に居るときくらいは、アレスと夫婦の時間を過ごしたいと思ってしまうのだ。
しかし、テンテン達に言われて気が付いた。
「オレもまだまだだな」
忍の本分を忘れていた事に自嘲せずにはいられない。
「じゃあ、私も付き合うわ」
「何?アレスもか?」
「修行しているアナタもカッコイイから、傍で見てる事にする」
「「バカップルが…」」
うふふと笑うアレスに、苦い顔をするネジとテンテン。リーは「じゃあ、張り切って修行しなければいけませんね」とギャラリーの存在にやる気を出している。
なんだかんだで、アレスの存在は上手いこと第3班に収まっているなぁとしみじみ感じた。