第2章 ++いつだってオレを想っていた++
「こんなに怪我して…」
「なぁに、こんなものは怪我には入らんさ!」
「風影救出の任務は、さぞかし危険が多かったでしょうに…とにかく、無事で何よりだわ」
真剣な眼差しで見つめてくるアレスに、ガイは優しく彼女の頭を撫でてやった。
「…心配を掛けたな」
「ガイの青春フルパワーなら心配はいらないと思っていても、待つ方は不安なのよ」
アレスはガイの懐に入り込み、ガイの無事を伝わって来る体温で再認識する。
「──私も忍になろうかな」
ぽつりと零された言葉に、ガイは猛反対の
様子でアレスを抱き締めた。
「そればかりは許さんぞ!」
「…どうして?私だってそれなりに忍術も使えるし…」
「お前が怪我でもさせられた日には、オレは相手の首を折ってやる」
手の平を掲げて、首をへし折る動作を見せるガイ。普段感じる事のないガイの殺気に当てられて、アレスは身を堅くする。
「──お前を危険な目に合わせたくないのだ」
分かってくれるだろう?と、肩を抱いて縋るように頼み込む。
「………」
アレスは数秒黙ったまま、
「─分かったわ。旦那様を待つことも、妻の勤めだからね」
ガイのジャケットを握り締め、ゆっくりと微笑んだ。