第6章 水泡
再び目を開けた時、太陽は完全に西に傾いていた。
眠ってしまっていたらしい。
それも相当長い時間。
起き上がろうとして、僕の体に桃色の着物がかけられていることに気がついた。
驚いて、着物を凝視した。
「…これって。」
これは、京を落とした時に僕が彼女にあげた着物だ。
彼女が照れ笑いをする時の頬の色に、そっくりで。
これを渡した時、まさにこんな色に頬を染めて、ありがとうございます、って。
その後唇を重ねたら、これよりも赤くなったけれど。
現実を把握しようと感覚を研ぎ澄ませていく。
肩に、眠ってしまう前にはなかった違和感を感じた。
僕の肩には、丁寧に包帯が巻かれていた。
「…ここに、来たのか。」
彼女がここに来たのは、明らかだった。
謝罪でもしようと思ったのだろう。
僕の指先についていた血は、綺麗に拭き取られていた。