第5章 迷走
「この日の本だけでは足らぬのだ。
我は、ここが欲しい、半兵衛。」
朝鮮進出。
正直、あまり得策とは思えない。
失敗した時に犠牲になるものが大きすぎる。
「秀吉。僕は朝鮮に勢力を広げようとすることは賛成ではないね。
朝鮮は他の国々と陸続きなんだ。
他の国々を刺激することになる。」
「そんなもの、我ら豊臣軍が叩きのめせばいいものを。」
「いや、秀吉や豊臣軍がどんなに強くたって、それは無理だと思うんだ。
不必要に莫大な兵を失うよ。
仮に征服出来たとしても、朝鮮はここ日の本から離れているんだ。
すぐに反乱が起こるだろうし、その度に海を越えて兵を送っていては、財政は確実に破綻するだろう。」
即座に考えつくだけで、これだけの危険性があるのだ。
「秀吉。
朝鮮への進出はやめよう。
今僕たちがすべきなのは、この日の本の統一を、さらに強めることじゃないのかな?」
秀吉はしばらく無言で考え込んでいた。
その目には、明らかに僕に対する不満が浮かんでいる。
日の本を統一したら、それでいいじゃないか。
夢が叶うと、その上がさらに欲しくなるのは事実だけども、どこかでそれは終わりにしなくてはならない。
上を見たらキリはないのだ。
上にのぼればのぼるほど、失敗した時の損失は大きくなるのだ。
「………去れ、半兵衛。
また後で呼ぶ。」
秀吉はそれだけ言った。
「あぁ、よく考えてくれ。秀吉。」
僕は念を押して、部屋を出た。