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糸車

第4章 存在


「…半兵衛様。
夕餉をお持ちしました。」

耳元で囁かれて目が覚めた。
いつの間にか部屋は真っ暗になって、いつぞやの奥州筆頭の兜のような三日月が雲の間から覗いている。

「…あぁ、ありがとう。」

彼女の顔を見ると、その背中の向こうに大きな影が見えた。

「…秀吉!」

「秀吉様が心配して来てくださったんです。」

ガチャガチャと金属がぶつかる音を鳴らしながら、秀吉は僕の枕元にあぐらをかいた。

彼女が気をつかって部屋を出ていく。

「…半兵衛。
貴様を酷使してしまい、申し訳ない。」

「いいや、いいんだ。
軍師なんて、酷使するためにあるようなものだろう?
それに夢は叶ったんだ、僕はそれで満足だよ、秀吉。」

「あぁ、半兵衛。
貴様がいてくれたおかげぞ。
まずは休め、半兵衛。
そしたらこれからのことも話し合うぞ。」

「あぁ、永代、豊臣の世が続くよう、いろいろ話さなくてはならないね。
僕もそう思っていたんだ。」

「しかし無理はせんで良い。
今はたんと、あれに甘えて看病されろ。」

「…あぁ、そうさせてもらうよ。」

秀吉は珍しく笑顔を見せて、去っていった。
襖の向こうで彼女と秀吉が二言三言交わすのが聞こえた後、彼女が部屋に入ってきた。

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