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糸車

第2章 兆候


先ほどの剣幕には少しだけ驚いたけど、それも僕を心の底から案じてくれたが故だろう。

僕の口元を一心に見つめて、こぼさせまいと必死なその姿を可愛らしく思った。

食欲はそんなに無かったけれども、彼女のお粥というのは絶妙な味付けでつい口を開いてしまう。

「君、今度は僕たちの戦に共にきてくれないかい?
こんな美味しい料理があれば、僕や秀吉、兵士たちもとても士気が上がると思うんだけど。」

そんなことは冗談だけど、素直には言えなくて、遠回りに常に彼女の料理を常に食べたい、と伝えた。

「私が、戦場に…?
きっと足手まといになりますよ?」

「冗談だよ。
それに、秀吉の日の本統一は叶ったんだ。
反乱でも起きない限り、もう戦はないよ。」

彼女の顔が一気に明るくなる。
軍師でありながら戦場の最前線で剣を振るう僕が、いつ死んでしまうのかと彼女はいつも恐れていたから。

「…本当に戦、ないんですか?」

確かめるように問う彼女の手に僕の手を重ねてやる。
そして彼女の目をしっかりと見た。
こういうことは目を見なくちゃ伝わらないだろう。

「あぁ、もう、無いよ。
仮に反乱が起きても、まず全国にいる豊臣の大軍勢がそれを鎮めてくれる…。」

「半兵衛様…。」

彼女は僕の指に指を絡めて、おめでとうございます、お疲れさま、と呟いた。

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