• テキストサイズ

糸車

第2章 兆候


しばらくして、彼女は戻ってきた。
起き上がろうとする僕を制して、枕元に正座をする。

彼女は少し怒っているようだった。

「半兵衛様。半兵衛様はもう少し自分のお体を大事にされるべきでは?」

「それは昨晩のことかい?」


からかってやると、彼女は顔を真っ赤にして人差し指で僕の頬を叩いた。

「真面目に言ってるんですよ!私は!
だいたいですね、半兵衛様。
奥州に行かれた次の日に安芸を目指すような方、私は聞いたことありませんよ!」

「…そうだねぇ。」

実際に体調を崩してしまった今、彼女に言い返すことはできなかった。

「秀吉様も呆れてましたよ、だから休めと言ったのに、と!
というわけで、半兵衛様。
しばらくはこの部屋から出しませんよ!」

昨晩の恥じらいはどこにいったのか、彼女は早口でまくし立てて、先ほど傍においた鍋に手を伸ばした。

「ほら、お粥。作ってきました。」

「君の手料理か…それはありがたい。」

起き上がろうとして、再び制される。

「いや、流石にこれは起き上がらないと無理だろう?」

「いいえ。
体を横向きにすれば大丈夫です。」

「…食べさせてくれるのかな?」

「特別ですよ。ほら。」

/ 42ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp