第2章 安易な約束はするべきではありません。
「えっと、なにかよう?」
朝、園に行き、自分のロッカーに荷物を置いて、絵本の棚から本を出し読んでいた。本に夢中になっていて、自分をじっと見ているその存在に気が付くのが遅れてしまった。そして、その存在が昨日の男の子だと気が付くのも遅くなった。
「ねぇ!!ねぇってば!!」
「うぇっ!?な、なに?」
声をかけられてようやく、気が付いた。なかなか気が付かなかったのが気に食わなかったのか、ムッとしていてなかなか話しだそうとしなかった。
「えっと、なにかよう?」
そう声をかけても、何も言わないので、私は再び本に目線を戻した。続きを読もうとしていると急に本が無くなった。
「あ、なんで、ほんとるん?」
「・・・」
意地悪でもされているのだろうか。それまで私の手の中にあった絵本が、今は彼の手にあった。
小さな子の意地悪にショックを受けるほど子供でもないし、別段その絵本に思い入れがあるわけではないので違う本に手を伸ばす。が、その手を彼に奪われた。