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紫の花が咲く頃に

第1章 まだまだ蕾だったあの頃、私たちは出会いました。


「あらあら、すーちゃん。先生にそんなこと言っちゃいけないわよ?」
「かぁさん」
 誰も声を出せないような状況で言うのは『我が道を行く』が座右の銘である我が母上である。
「もぅ、ママって言ってって言ってるのに。それより、先生?うちの娘が大変失礼いたしました。ですが、泣いた子だけの話を聞くのはいかがなものでしょう?その男の子にだって言い分がありましょうに、威圧的に叱りつけるのは変な話ですわ。」
 そういった、母は堂々としていた。それには、さすがに先生も何も言えないようで、気まずそう目線を下に下げていた。
「真にその通りでございます。」
 そんな母に賛同してくれたのは、この園の園長先生だった。
「大変失礼いたしました。我が園の園長をしている者です。子ども達一人ひとりに平等であらねばならない保育士がこのような行いで申し訳ありません。男の子には謝罪をさせてください」
 その園長先生の言葉に、園の先生方は気まずそうにしていたが全員で頭を下げていた。
 それから、その女の子と男の子は仲直りの握手を交わし、入園式は滞りなく行われた。その日は、そのまま解散となった。
 帰り道、そのときまだ、片言だった弟は『ねぇね、かっこいい』とやたら私をほめてくれた。母は何も言わず、私の頭を撫で、ニコニコ笑っているだけだった。
 それが、長い付き合いとなる彼との出会いだったのだ。
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